Colorless Life
 「も~・・、それならもっと早くそう言ってよね~。」
 「あははっ、ごめんごめん。詩織があんまり幸せそうに真田君を見てるから、ついねぇ~・・・。」
 「こ、こらっ!も、もうその話はおしまい!」
 「あははっ!詩織って面白いなぁ~。かぁ~わいぃ~。」
 「の、典子!もう教えないよ!」
 「あははっ!はぁ~い、ごめんなさぁ~い。」
 「まったくもう・・・・・。」

 典子がようやく大人しくなったところで、私は問題を読んでみた。
 典子の分からないという数学の問題は、二次関数の最大・最小に関する応用問題みたいだった。

 「えっと・・・、これは確か・・・・。」
 ノートで該当箇所を探しながら考えていた。
 「とりあえず、最大・最小だからまず平方完成をして・・・・。あれ・・・?でもこの“a”ってなんだろう・・・。範囲がついてるから・・・、たぶんこんな感じになると思うんだけどなぁ・・・・。う~ん・・・・。」

 二次関数のグラフをノートに書きながらブツブツ言っていると典子は笑った。
 「詩織先生・・・?もしかして・・・、もしかする・・・?」
 「ご、ごめん・・・・。もしかする・・・かも・・・・。」
 私が申し訳なく謝ると、典子は教科書を持って立ち上がった。

 「オケッ!困った時はもっと賢い人に聞くのが一番だね!ここは詩織のために一肌脱ぐよ!」
 そう言うと典子は席を離れた。

 「えっ!?ちょ、ちょっと!典子、ど、どこ行くの!?」
 典子は私にウィンクすると、教室の後方へと歩いていった。
 「の、典子!?」
 私も慌てて典子についていった。

 典子が向かった先は・・・・、勇治君たちのところだった・・・・。
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