Colorless Life
 「勇治、やめとけ。関わらない方が良いって。」
 藤村君が勇治君を落ち着いた様子で制止した。

 でも勇治君は島谷君に怖気づくことなく、冷静に受け答えを続けた。
 「喧嘩なんか売ってないさ、勉強するための教室で勉強してて追い出されるのはおかしいって言っただけだ。島谷こそ教室で何がしたいんだよ。教室じゃなきゃできないことなのか?」
 「俺を呼び捨てにしてんじゃねぇっ!!」
 突然勇治君が突き飛ばされた。

 「真田!!」
 「島谷、やめろ!俺たちはただ勉強してただけだろ!」
 「てめぇも呼び捨てか?調子に乗んな!!」
 島谷君を制止しようとする藤村君までもが蹴り飛ばされた。

 「ちょっと!やめてよ!暴力を振るうのはおかしいでしょ!」
 我慢できなくなって立ち上がった。
 「あ?なんだお前、女に用はねぇ。黙ってろ!」

 再び制服の袖を引っ張られた。
 見ると、典子が怯えた表情のまま、小さく首を横に振っていた。
 私は典子を廊下にいるように促した。典子は廊下から不安げに様子を伺っていた。

 島谷君は、突き飛ばされてロッカーにもたれかかる勇治君の胸倉をつかんで睨みつけた。
 「俺はお前みたいな優等生面が一番嫌いなんだ。1度痛い目見とくか?あぁっ!?」
 勇治君は冷静に島谷君を見つめ返した。

 「なんだその目は、俺とやる気か?調子に乗るなよ、てめぇ。」
 「止めなさいって言ってるでしょ!」
 私は、興奮状態で何をするか分からない島谷君を勇治君から引き離した。

 「あ、朝倉!やめとけって!」
 「おい、お前も俺とやる気か?いい度胸してんじゃねぇか。」
 「詩織は関係ない。手を出すな。」
 勇治君はさりげなく、私と島谷君の間に割って入ってくれた。

 「くっくっく、なんだ?お前こいつに惚れてんのか?くそ優等生がかっこつけやがって、お前だけは痛い目にあわせねぇと気が済まねぇ。」
 島谷君はポケットからバタフライナイフを取り出した。

 「ちょっと、おい!ナイフは止めろ!!」

 藤村君がそう叫んだ、次の瞬間・・・。
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