Colorless Life
 ナイフが教室の床を転がる音がした・・・。
 島谷君が少しよろめいた・・・。

 先に殴りかかったのは勇治君だった・・・。

 「てんめぇ・・・、覚悟はできてっ・・・・。」
 島谷君の言葉をさえぎるように、勇治君が島谷君を殴り倒した・・・。

 「・・・・っ。くっ・・・・・。」
 後ずさりする島谷君に、勇治君は歩み寄っていった・・・。

 「おい、勇治。もう止めと・・・。」
 勇治君は制止する藤村君の手を即座に振り払い、顔半分振り返った・・・・。
 振り返った勇治君の顔を見た瞬間・・・。

 ・・・・・・・・!!!!

 「ゆ・・・・うじ・・・・・。」
 私たちは凍りついた・・・。

 見たことのない勇治君の顔がそこにはあった・・・。
 あんな顔・・・・、やろうと思ってできる顔じゃない・・・・。

 勇治君はゆっくり前を向いて島谷君に歩み寄った・・・。
 「・・・・・な・・・、なんなんだよ・・・お前・・・。」
 島谷君も、勇治君の恐ろしいほど冷徹な表情に完全に怯えていた・・・。

 私たちも体が動かなかった・・・・。
 あの表情でクラス全体が金縛りにあっていた・・・。

 勇治君は怯える島谷君の胸倉をつかんで持ち上げた・・・。
 「・・・・・や、やめろ・・・・。・・・・・・やめっ・・・。」

 島谷君の必死に絞り出す声もむなしく、島谷君は再び殴り倒され、気を失った・・・。

 それでも勇治君は止まらなかった・・・。

 彼は島谷君に馬乗りになると彼をさらに殴り始めた・・・。
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