Colorless Life
 「勇治!!勇治やめろ!!勇治!!!!!!!」
 「あああああああああああああああああっっ!!!!」
 「勇治君!!!やめて!!」
 私も必死で叫んだ。自分が泣いていたことにその時気がついた。
 その時・・・・。

 勇治君の叫び声が止まった・・・。

 勇治君は島谷君に馬乗りになった状態でひざをついて、ぐったりした島谷君を見つめ、肩を小さく上下させていた・・・。

 「はぁっ・・はぁっ・・・・・・。・・・・あっ・・・・、俺・・・。」

 藤村君は勇治君から手を緩めてその場に座り込んだ・・・。
 勇治君はうつろな目のまま、ゆっくり立ち上がった・・・。

 「先生!こっちです!!」
 学年主任の橋本先生と井上先生が教室に駆けつけてきた。

 橋本先生は教室に入ってきて、血だらけでぐったりした島谷君を見ると、放心状態の勇治君の肩に手を置き、落ち着いた声で言った。
 「真田・・・。ちょっと職員室に来い。井上先生は島谷をお願いします。」

 勇治君は黙ったまま、高橋先生をゆっくり見た・・・。
 彼の目からは涙が流れていた・・・。

 「分かりました。藤村君、根岸君少し手伝ってもらってもいい?」
 「はい・・・・。」
 床に座り込んでいる藤村君と、立ったまま凍りついていた根岸君が小さな声で返事した。

 島谷君は藤村君と根岸君に担がれて教室を出て行った。

 典子と私は教室に残された。
 典子は私にしがみついて泣き続けていた。
 私も放心状態で、涙だけが目から流れ出ていた。

< 164 / 191 >

この作品をシェア

pagetop