Colorless Life
 ゆっくり目を開けると、網目状の天井が目の前にあった・・・。

 「おはよう、詩織。」

 誰かに声をかけられた。声のほうを見ると、勇治君がそこに座っていた。

 「あ・・・・、勇治君だ・・・・。」

 ・・・そっか・・・、私倒れたんだっけ・・・・。
 ようやく私は、今まで夢を見ていたことに気がついた。
 それにしても・・・・、不思議な夢・・・・。

 「ったく・・・無茶しやがって・・・・。」
 ぼんやりとした思考の私に、勇治君が震えた声で語りかけた。

 勇治君の手には、私の書いたノートが持たれていた。
 そう、勇治君が帰ってくると信じて、私が毎日書き続けたノート・・・・。

 「だって・・・、私、約束・・・したから・・・。」
 「ん・・・?」
 「勇治君が・・・・後ろ向きになってたら・・・・、私が・・・・前向かせてあげるって・・・。」
 「ばっかやろう・・・・、突っ走りすぎなんだよ・・・。落とし穴つくる余裕すらなかったじゃねぇか・・・・。」
 勇治君は涙目のまま笑った。私も小さく笑った。

 「ふふふっ・・・・。でもよかった・・・。勇治君が戻ってきてくれて・・・。」

 私がそう言うと、勇治君は私の頬にそっと手を当てた。
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