Colorless Life
 何気なくそっちの方に向かった。

 「あっ・・・、新田さん・・・。」
 私の声に気がついて、新田さんも私を見た。
 「あっ・・・、朝倉さん・・・。こんにちは・・・。」
 どこか気まずい雰囲気が流れていた・・・・。

 私と新田さんは沢木さんのお墓の前で2人並んで立っていた。

 沈黙が、夏の到来を知らせる風とともに静かに流れていった。

 「私ね・・・・。」
 新田さんが沈黙を破るように話し始めた。私は黙って新田さんを見た。
 「私ね、勇治君のこと好きだったんだ~。」

 ・・・・・。知ってるよ・・・・。新田さんの気持ち・・・、あの時痛いほど伝わってきたから・・・。

 「でも、遥のことも大切だったから、この場所で勇治君に告白したの・・・。」
 「・・・・・・・。」
 「けど、振られちゃったぁ~。」
 新田さんは空を見上げた。

 再び沈黙が流れた・・・。
 私は沢木さんのお墓を黙って眺めていた・・・。

 「それにしても・・・、ほんっと、よく似てるなぁ~・・・。」
 声の方を見ると、新田さんが私をじっと見つめていた。
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