Colorless Life
 朝倉は席について授業の準備を始めた。

 運命・・・か・・・。

 運命なんてものは信じたくなかった。それを使えばどんなことも、遥のことさえもその一言で片付けられてしまうから・・・・。

 だけど、遥とは全く別人の朝倉詩織という人間に出会い、さらにその彼女が僕の目の前にいるというこの現実を目の当たりにすると、進二の言う運命かどうかは別として、何らかの力が働いたんじゃないかと考えたくなる気持ちも分かる、・・・ような気がした・・・。

 僕は複雑な気持ちで、複雑な化学反応式を眺めていた。

 やがてチャイムが鳴って化学の先生が入ってきた。

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