Colorless Life
 その日は図書委員の仕事があったから、俺は図書館に行って自習していた。

 図書委員の仕事といっても、図書館を利用する人なんてごくわずかで、3年生が数人、自習しに来ている程度だった。
 本を借りる人なんてめったにいなかった。そもそもこの図書館には、借りるに値するような本がないのがその原因でもあるんだろう。
 今日も2人の生徒の図書カードに判を押しただけで、後はひたすら自習していた。

 図書館を6時に閉館して鍵を閉め、図書準備室にいる先生に鍵を渡して、階段を下りていった。
 外はもう暗くなっていた。部活動を終えた生徒が数人歩いていた。

 部活動なんて何のためにしてんだろう・・・・。
 将来スポーツ選手になるわけでもないのに、こんなに遅くまで練習して、それで勉強をおろそかにして落ちこぼれる。訳が分からない・・・。
 なぜ勉強しなければならないのかもよく分からないが、なぜ部活動をするのかはもっと分からない。

 中学の時、俺はどうして陸上部を選んだんだろう・・・。

 ・・・思い出せなかった・・・。
 でも、今となってはもうどうでもいいことだった。
 自転車に乗って学校の校門を出た。

 ふと前を見ると、大通りの手前を朝倉が1人で歩いているのが見えた。

 朝倉も今まで部活をしてたのか・・・。ご苦労なことだな・・・。

 朝倉は右手に何か持ってゆっくり歩いていた。

 そして、彼女は事もあろうにそのまま赤信号の横断歩道を歩いていこうとしていた。

 ・・・・ちょっ!!何してんだあいつ・・・!!
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