Colorless Life
 俺は焦って自転車を立ちこぎした。

 「おいっ!朝倉!!」
 朝倉は気がつかない・・・。

 心臓がドクドクしてきた・・・。
 なんなんだよ・・・!!まさか・・、死ぬ気じゃねぇだろうな・・・!!

 ・・・そんなこと・・・・・。

 そんなこと、もう2度とさせてたまるか!!

 思いっきりペダルをこいで自転車を乗り捨て、横断歩道の4分の1ほどまで進んでいた朝倉の腕を思いっきり引っ張った。
 「きゃっ!!」
 と同時にスポーツカーが、けたたましくクラクションを鳴らしながら通り過ぎていった。

 「あっ・・・・。」
 朝倉は、車のクラクションを聞いてようやく、自分が赤信号を渡ろうとしていたことに気がついたみたいだった。

 「はぁっ・・・はぁっ・・・。なにしてんだ!!馬鹿野郎!!死にたいのか!!」
 俺は異常なほど興奮していた。
 「ご、ごめん・・・なさい・・・。」
 あまりに大声を出したせいか、朝倉は驚いて畏まった。

 俺は言い過ぎたことに気がついて、朝倉に背を向けて自転車を起こした。
 「と、とにかく気をつけろ・・・・。」
 「う、うん・・・。ありがとう・・・。」

 横断歩道の信号が青になった。

 自転車で走り出そうとすると、目の前に1枚の写真のようなものが裏返って落ちていた。

 俺がそれを拾おうとすると、朝倉が慌ててそれを拾った。

 「あ、ありがとね。ま、また来週・・・。」

 朝倉の方を軽く見て無言のまま自転車をこいでいった。

 まだ少し心臓がドクドクしていた。
 目の前で同じ顔の人間が傷つくところを2度も見るところだった・・・。
 そう思うと寒気がしてきた。

 しっかりしてそうで、おっちょこちょいなところまで一緒かよ・・・。まったく・・・。

 いつもよりスピードを上げて急いで家に帰った。

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