Colorless Life
 次の週の月曜日の朝、席に座って進二と話をしていると、朝倉が教室に入ってきた。
 「よっ!朝倉!おはよう!」
 進二が朝倉に声をかけた。俺は朝倉の方を見ただけだった。
 「おはよう、真田君、藤村君。」

 朝倉は机の上にかばんを置くと俺の方を見た。
 「あの、真田君、金曜日はありがとね。」
 「あぁ、うん・・・。」
 朝倉と目を合わせないようにして答えた。

 「あぁ?なんだお前ら、もうそんな関係なのかよ!!」
 進二がうれしそうに話した。
 「ばっ!な、何言ってんだお前!なんでもねぇよ!」
 焦る俺を進二は面白がってからかう。

 「朝倉~、勇治と仲良くしてやってくれよ~。頼むぞ~。」
 「ちょっ!!お前もう向こう行ってろ!!」
 「あははははははっ!!」
 進二は楽しそうに自分の席に戻っていった。

 朝倉は自分の席について後ろを向いた。
 「藤村君って面白い人だね~。」
 「ったく・・・。ちょっかい出すのだけは得意だからな・・・、あいつ・・・。」
 俺が困った顔をしていると、朝倉は笑った。
 「いいじゃない!それだけ真田君のことが大切ってことだよ。」
 「ははは・・・。どうなんだか・・・。」

 あいつの魂胆はなんとなく理解できた。
 遥にそっくりの朝倉を、俺とくっつけてしまおうとでも思っているんだろう。
 あいつの好意はうれしいが、それは余計なお世話だった。

 いくら顔がそっくりでも朝倉は遥じゃない。それくらいの区別はもうついていた。
 遥の埋め合わせを朝倉ですることはできないし、なによりそれは朝倉に失礼だ。

 本当・・・、世話焼きな奴だな・・・、あいつは・・・。

 チャイムが鳴った。井上先生が教室に入ってきた。

< 23 / 191 >

この作品をシェア

pagetop