Colorless Life
 ・・・・なんだこれ・・・。ふざけてるのか・・・。
 こんな聞き方して話し合いになるのかよ・・・・。すでに答えが出てるようなもんじゃねぇか・・・。

 「皆さんの自由な意見を聞かせてください。賛成・反対にかかわらず、思うことを言ってほしいと思います。クラス委員は出た意見を黒板にまとめていってもらえますか?」

 相田と朝倉が前に出た。

 なにが自由な意見だ・・・。こんなの誘導尋問だろ・・・。
 両手にはじんわりと汗をかいていた・・・。
 嫌な予感がしていた・・・。すごく嫌な予感が・・・。

 教室は静まり返っていた。
 誰も意見を言わないまま5分ほどが経過した時だった・・・。

 「はい。」
 ある生徒がその静寂を破った。
 「根岸君。どうぞ。」
 根岸は立ち上がった。

 「俺は死刑制度には反対です。人の命というものは人権の中で最も重要な権利です。たとえ犯罪を犯した者であっても、その命は最大限尊重されなければならないと思います。」

 根岸は席に着いた。
 「なるほど。他にはどうですか?」
 先生は挙手を促した。
 すると、根岸の発言をきっかけに色々な生徒が発言し始めた。

 「僕も反対です。命を奪わなくても別の方法で同じ目的を果たすことができると思います。」

 「私も反対です。たとえ犯罪者であっても更正できる以上その可能性を奪ってはいけないと思います。」

 ・・・・・・・。

 「殺さずに生きて償わせることのほうが大切なことなんじゃないでしょうか。」
 「死刑って廃止することが世界的な流れになっているんですよね。日本だけ残しておくのはそういう流れから取り残されることになってしまって、好ましくないと思います。」
 「被害者の遺族の方も犯人が死んだところで、その心の傷は癒されることはないと思います。」
< 25 / 191 >

この作品をシェア

pagetop