Colorless Life
 「ふぅ~・・・。」
 廊下に出て、大きくため息をついた。

 ふと人の気配を感じて右を見ると、朝倉が立っていて俺を見ていた。

 「うわぁっ!!!」

 思わず叫んでしまった・・・。動揺を隠す余裕などなかった・・・。

 「あの・・・、えっと・・・、その・・・・。」

 まごついている俺に、朝倉はにっこり笑って言った。

 「おはよう。」

 「・・・・。おは・・よう・・・・。」
 「さ、教室いこ。」
 あっけにとられている俺を後目に彼女はそう言って廊下をスタスタと歩いていった。

 普段通りだった・・・・。
 驚くほどいつも通りに接してきた彼女をただ呆然と見ることしかできなかった・・・。

 すると彼女は俺の方を見た。
 「早く!」
 「あっ、は、はい!」
 俺は慌てて彼女のところに走っていった。

 俺と朝倉は廊下を並んで歩いていた。
 「真田君が職員室に行くなんて珍しいよね。」
 「あぁ、うん・・・。少し先生に用があったから・・・。」
 「風邪はもう治った?」
 「うん。おかげさまで・・・。」
 「そっか~。」

 彼女が普通に話しかけてくれるおかげで動揺は次第に収まっていった。
 「あ、そうだ。ノートありがとう。」
 「いえいえ~、役に立っていればいいけど。」
 「すごく助かったよ。あー、でも・・・。」
 「ん?なんか変なとこあった?」

 話の途中で教室に到着した。
 「あ、ちょっとごめん。」
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