Colorless Life
 俺は教室に入って教壇の上に立った。

 クラスはざわついていたが、俺を見て静かになった。

 こんなに静まり返るとは思ってなかったが、ここまできたら腹をくくるしかなかった。
 両手を握り締めて頭を下げた。

 「みんな・・・ごめん。この前は1人で勝手に暴走して・・・本当にごめん。」

 クラスは静かなままだった・・・。

 すると、進二が俺のところに来て肩を軽く叩いた。俺は頭を上げた。

 「おはよう!」
 進二は笑顔だった。
 「お、おはよう。」
 「真田、おはよう。」
 見ると根岸が笑顔で俺のほうを見ていた。
 「おは・・よう・・・。」

 進二はニコっと微笑んで俺の頭を軽く2回叩き、さっき話をしていたグループの方に戻って再び会話を始めた。

 教室にはざわめきが戻ってきた。

 大きくため息をついた。
 今日は謝ってばかりだな・・・。
 気がつくと、朝倉が隣で笑っていた。

 昼休み。朝倉が突然振り返った。
 「!?な、何・・・?」
 「そういえば今朝何か言おうとしてたよね?続き聞いてないなぁと思って。」
 「あぁ・・・。」

 昨日進二から受け取った朝倉のノートを取り出した。
 「これさ、所々間違ってたから、間違って覚えてたらかわいそうかなぁとおもっ・・。」
 「えぇえっ!!?」
 「!?」
 朝倉が、そんな大声を出すのは始めてだったから驚いた。

 「うそー!!ごめーん!!どこが間違ってた?」
 「一応、付箋つけて赤で直しといたから確認しとく?」
 「うんうん!本当にごめんね!」
 朝倉にノートを渡すと、彼女はノートをめくった。

 「あちゃ~・・・、やっちゃってるねぇ・・・・。せっかく役に立とうと思ったのに~・・・。これじゃあ格好つかないよ・・・・。」
 朝倉が極まり悪そうな顔をしているのがおかしくなった。

 「ふふっ・・。」
 「あー!今私のこと馬鹿にしたなー!」
 「いやいや、ごめんごめん。そんなに慌てた顔してる朝倉始めてみたからさ。ちょっとおかしくて。」
 「も~・・・。」
 朝倉は恥ずかしそうに照れてノートで顔を隠した。
 「でも役に立ったのは本当だから、そんな気にしなくていいよ。」

 俺は気付かないうちに笑っていた。
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