Colorless Life
 「なんなんだよ!俺がどうしようと俺の勝手だろ!朝倉には関係ないじゃないか!!」

 彼女は怒りと悲しみの混ざったような目をしていた・・・。

 彼女のこんな顔は初めてだった・・・。
 胸が苦しくなるほど切ない表情だった・・・。

 それでも俺は両手を握りしめて叫んだ。

 「所詮、朝倉だって他人事だろ!分かった様な事言ったって綺麗事なんだろ!!」
 「ち、違うよ!私は・・・」

 「違わないさ!大切な人を失った人間の気持ちなんて、失ったことない奴に分かる訳ないじゃないか!!」
 「わ、私だって!!私だって・・・・。」

 彼女は何か言いかけたところで黙って下を向いてしまった。

 俺はもう止まらなくなっていた。こんなに長く彼女を見ていたのは初めてだった。

 「もうほっといてくれ!俺の気持ちは朝倉には絶対に分からない!!遥の事はもう2度と口にするな!!!」

 俺は朝倉をその場に残して自転車置き場に走っていった。急いで自転車に乗って学校を飛び出した。

 くそっ!・・・なんなんだよ・・・。人の過去に勝手に入ってくるなよ!!

 怒りに任せてペダルをこいだ。

 家に帰って制服を着替えもしないでそのままベッドに寝転がった。

 しばらく天井を眺めていると少し冷静になってきた・・・。

 逃げてる・・・・のか・・・・?俺は・・・・。

 あんなにはっきり言われたのは初めてだった・・・。

 薄々は気付いていたのかもしれない・・・。それでも認めたくなかっただけなんだろうな・・・。
 きっと、自分で認める前に朝倉に指摘されたから、むきになってしまったんだな・・・。

 「また・・・やっちまったな・・・・。」

 真っ白な天井に話しかけた。

 「明日・・・・謝りに行くか・・・。」

 ベッドから起き上がって着替えを済ませた後、夕食に呼ばれたので1階に降りていった。

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