Colorless Life
 教室から1人の女の子が出てきた。

 ・・・・・・・!!!!

 俺はその場に凍りついた・・・。進二もその子を見て声を失っていた・・・。

 そこには遥がいた・・・。遥ではない遥が・・・・。

 世の中には自分と同じ顔をした人間が3人いるという話を聞いたことがあったが、今までそんなことありえないと思っていた・・・。
 でも、今日初めてその話を信じる気になった・・・。

 長い黒髪ではない点を除けば、ほぼ全てがそのままだった・・・。

 彼女は教室前で凍り付いている俺たちを見て驚き、立ち止まった。
 「あっ、あの・・・・、大丈夫・・・?」
 「君・・・、遥ちゃん・・・じゃない・・よね・・・?」
 進二が尋ねた。

 そんな訳はない。だけど、聞きたくなる進二の気持ちがすごくよく分かった。
 「えっ・・わ、私?私は・・・。」
 「ごめん、なんでもないよ。気にしないで。」
 俺は彼女が何か言おうとするのを遮って教室に入った。

 彼女はしばらく俺たちを目で追っていたが、そのまま教室を出て行った。
 俺は教室の黒板に書いてある自分の席に座った。

 今までにないほど動揺していた。冷静な振りができないかもしれないと焦った。

 進二が荷物を自分の机に置いて俺のところに来た。今は冷静を装うので精一杯だった。

 「おい、見たよな・・・?あの子・・・、遥ちゃんそっくりだったよな・・・?いや、そっくりなんてもんじゃない、あれは遥ちゃんだろ・・・・。」
 進二にばれないように小さく深呼吸して答えた。

 「そうか?あまりよく見なかったからわかんねぇや。」
 「同じクラスなのかな・・・。なんて名前なんだろうな・・・。」
 「さぁな、どっちにしても別人だよ。」

 そんな話をしていたら、さっきの女の子が教室に入ってきた。
 俺と進二はまた、彼女に釘付けになった。
 彼女が俺たちのほうを見たので慌てて視線をそらした。
 彼女は席に着いた。席と黒板の名前を照らし合わせた。

 朝倉詩織。彼女はそういう名前だった・・・。
 「朝倉・・詩織・・・か・・。やっぱ同じクラスだったんだな・・・。」
 「みたいだな・・・。」

 チャイムが鳴った。進二が席に戻っていった。教室に先生が入ってきた。
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