Colorless Life
 涙が出てきた・・・・。

 俺は・・・、なんてことを・・・・。

 朝倉がどんな思いで・・・、あの言葉をかけていたのか・・・。
 彼女の気持ちを・・・、何も知らないで・・・。

 “もうほっといてくれ!俺の気持ちは朝倉には絶対に分からない!!”

 涙をぼろぼろとこぼす俺に、朝倉のおじさんは驚いて声をかけてくれたが、俺はそれどころじゃなかった。

 謝らないと・・・。朝倉に謝らないと!!!!

 おじさんに挨拶するのも忘れて走り出した。石段を猛スピードで駆け下りて学校に向かって走った。涙がこぼれて後ろに流れていった。

 ごめん・・・。ごめんな・・・、朝倉・・・・。

 校門を通り抜けて校舎の前を走っていった。
 正面から人が歩いてきていた。
 ・・・・朝倉!!

 朝倉は俺を見ると戸惑ってその場に立ち尽くした。

 「さ、なだ・・・君・・・。」

 「はぁ・・はぁ・・はぁ・・はぁ・・。朝倉・・・。」

 両ひざに両手をついて呼吸を整えた。

 「朝倉!!」

 朝倉は驚きと戸惑いの混ざった目で俺を見ていた。

 「ごめん!朝倉!本当にごめん!!」

 頭を下げたせいで涙が2,3滴地面に落ちた。

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