Colorless Life
 「だから私は決めたの・・・。この場所を笑顔で見られるようになるまでは、ここには絶対に戻らないって・・・。とにかく、がむしゃらにでもなんでも前だけ見て笑って生きていこうって!」

 そうだったのか・・・。
 あの笑顔の内側には・・・、こんな思いがあったなんて・・・。

 「だってそうでしょ!お父さんもお母さんも私が後ろ向いてぐずぐずしてる姿なんて見たくないよ!自分の人生を笑顔で前に進んでいってほしいって思ってるよ!2人とも私のことすごくかわいがってくれたから!すごく大切にしてくれたから!!」

 朝倉は感情の高ぶりが抑えられなくなっているようだった。しばらく下を向いていて心を落ち着かせてから無理やり笑顔を作った。

 「とはいえ、今の私はここを笑顔で見られてないから、初志貫徹できてないんだけどね・・・あははっ・・・。」

 もう・・・、我慢の限界だった・・・。

 俺は彼女を思い切り抱きしめた・・・。

 「もういい・・・、もういいよ・・・。分かったから・・・。」
 「・・・・・・。」

 「・・・・偉いよ・・・朝倉は・・・・。」
 俺も泣きそうだった・・・。

 「俺は・・・逃げてたんだ・・・。遥に謝り続けることが、残された俺の責任のとり方だと思ってた。誰ともかかわらず・・・ただ遥の代わりに生きていれば・・それでいいと思ってた・・・。けど・・・遥はそんなことしたって絶対に喜ばない・・・。あいつだって・・・俺の幸せを願っていてくれるはずなんだ・・・。あいつも・・・俺のことすごく大切にしてくれたからさ。」

 朝倉を見ると、彼女はいつもの笑顔を見せてくれた。

 「ありがとう。遥のことを忘れる訳にはいかないけど、自分の人生を犠牲にするのはもう止める。俺も遥も幸せになれる方法を探してみる!」

 俺も今できる精一杯の笑顔を彼女に見せた。

 彼女の笑顔の向こうで、遥も笑っている気がした・・・。

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