Colorless Life
 「ゆ、勇治君ごめん・・・・、私も典子に教えてる途中で分かんなくなっちゃったの・・・。ま、混ぜてもらっても・・・・いいかな?」
 「おう!こうなったら、もう何人でもきやがれ!」
 「うほー!頼もしいー!!」
 「んじゃ始めるぞ~。まずは二次関数の最大・最小問題から~。」

 気持ちが弾んでいるのが分かった。
 仲間がいるというのがこんなに楽しいものだったとは・・・。
 こんな気持ち・・・、久しぶりに感じた・・・。

 人間はきっと1人でも生きていける。
 誰にも頼らず、誰からも頼られることなく生きていくことはできると思う・・・。
 ・・・だけど・・・。
 それだと心は死んでしまう・・・。

 人間には心がある。
 そして心は常に誰かからの信頼、友情、あるいは愛情といった他人の心を求める欲張りな奴だ。それを糧にしなければ飢え死にしてしまう。
 心が満たされているということは、それだけその心の所有者の人生が色んな色で彩られていることになる。

 色のない人生は・・・、つらいだけだ・・・。
 俺は心が完全に死んでしまう前に、そのことを詩織から教わった。
 ・・・ほんと・・・感謝しないとな・・・。

 詩織は真剣に俺の説明を聞いていた。俺と目が合うとにっこり微笑んでくれた。

 ありがとう・・・。詩織・・・。

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