Colorless Life
 あの後遥は、俺の英語のノートの一番後ろにこれを書いてくれたんだ・・・。

 ・・・・・・・。

 犯罪者を助けたい・・・か・・・。
 今の俺には口が避けてもそんなことを言えない・・・。
 遥を殺したあの男を弁護するなんて・・・・、絶対に無理だ・・・。
 今あの男を見たら・・・、きっと島谷にしたようなことをしてしまうんだろうな・・・。
 いや、もっとひどいことになるかもしれない・・・。
 そうなれば今度は俺が弁護してもらう側だな、ははは・・・。

 ・・・・・・・。

 ・・・弁護士・・・・。
 遥の言葉・・・裏切っちゃったな・・・。
 ノートを閉じてセーターと一緒にきれいに引き出しに片付けた。

 鍵はもうかけなかった・・・。

 謹慎期間は気がついたら過ぎていた。
 それでももう、学校にいく気がなくなっていた。
 父さんと母さんは少し気持ちを落ち着けてから行けばいいと言ってくれた。

 俺は自転車に乗って柏木町の墓地に向かった。

 墓地には夏が近づいてきているというのに冷たい風が吹いていた。

 墓の前にやってきて遥に話しかけた。
 「俺・・・全然変われないよ・・・。」
 「・・・・・・。」

 「詩織が前に進めって言ってくれたんだ・・・。俺も、お前と一緒に幸せになれる方法を探してみた・・・。けど・・・。」
 「・・・・・・。」

 「あの時の光景が頭から離れないんだ・・・。どうしても・・・お前を死なせちまったあの時の光景が・・・戻ってきちゃうんだ・・・・。」

 涙があふれてきた・・・。
 「・・・・・・。」
 遥はもちろん何も答えてはくれなかった・・・。

 「俺・・・、どうしたらいいかな・・・。どうしたら・・・・。」
 「私がいるよ!!」
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