Colorless Life
 衝撃の一言だった・・・。

 俺が鈍感だったのか・・・。
 明美がそんな気持ちを俺に抱いていたなんて思いもしなかった・・・。

 「本当は・・・一緒に遥のお墓に来た日に言おうと思ってたの・・・。だけど・・、勇治君が私のこと・・・、全然見てくれてなかったから・・・。」
 「・・・・。」

 「でも、もう我慢できないよ!これ以上我慢できないよ!!」
 明美はうつむいた。

 「明美・・・・。」
 「私、遥のことも大切だから・・、遥の前できちんと言いたかったの・・・。遥にも聞いてほしかったの・・・。」
 「・・・・・。」

 俺は胸が苦しくなった・・・。
 明美もずっと我慢してたんだな・・・。つらい思いをさせてたんだ・・・。
 それに気付かない俺って・・・。最低だな・・・。

 涙が落ちそうになったから上を向いた。
 その時だった・・・。

 明美は俺の胸に飛び込んできた。

 ・・・・・!!!

 「あ、明美・・・・。」
 「勇治君・・・うっ・・うぅっ・・・、好きなの・・うぅっ・・・、好きなんだよぉ・・・。」
 「・・・・・・。」

 明美は俺の胸でしばらく泣いていた・・・。
 俺は何もできなかった・・・。一筋の涙だけが俺の頬から流れ落ちた。

 明美は落ち着いてきた。俺から離れると悲しそうにうつむいた。
 「やっぱり・・・、ダメなんだね・・・。」
 「俺は・・・・。ごめん・・・・。」
 「・・・・。分かった・・・・。」
 「・・・・・・・。」
 「でも、学校には来て・・・。学校を辞めるのだけは絶対に許さないから!」
 「明美・・・・。」
 「・・・・それじゃあね・・・。勇治君・・・・。」

 明美は無理に笑顔を取り繕った。そのまま石段を下りていった。
 「明美・・・・、ごめん・・・・。」

 墓地に吹く風は、いっそう強く冷たくなっていた。

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