Colorless Life
 「俺・・・、もう・・・無理なんだよな・・・。もう・・・、昔のようには笑えないよ・・・。」
 途切れ途切れの言葉を何とかつないで文章にした・・・。

 「なんで、そう思うんだ?」
 よっちんの低く渋い声が優しく俺の心に響いてきた・・・。
 その優しい声に俺の涙腺は緩んだ・・・。

 「だってさ・・・、俺・・・、無意識のうちに人を殴ってたんだ・・・。それもめちゃくちゃに・・・・。」
 よっちんは黙って俺の言葉をかみしめるように聞いていてくれた。

 「どんなに変わろうとしても無理なんだよ・・・。心がそれを拒絶するんだ・・・。」

 よっちんはしばらく黙っていた後、やさしく語りかけてきた。
 「なあ、勇治、お前覚えてるか?」
 「え・・・・?」
 突然始まった思い出話に驚いてよっちんを見ると、よっちんは少し楽しそうな顔をしていた。

 「中学最後の体育祭のクラス対抗リレーだよ。ほら、お前がアンカー走ったやつ。」
 「あぁ・・・、うん・・・。」

 俺たちの中学の体育祭は毎回最後にクラス対抗で全員参加のリレーをすることになっていた。
 勝ったからといって、せいぜい賞状がもらえる程度だったが、全員参加ということもあって、俺たちの学校の体育祭ではクラス対抗リレーが一番燃え上がった。

 俺は陸上部の部長だったこともあって、クラスの中では一応1番足が速かったんだっけ・・・。

 「お前と遥が必死で指導して、バトンパスも事前にかなり練習したんだけどさ、本番で2番走者の早紀が転んじまって、あっという間にビリになってな。優勝できる可能性があっただけに、クラスは一変して諦めムードで、早紀も責任感じて泣いちまってただろ?」
 「ははは・・・、そういやそんな事もあったかな・・・。」

 「そんな時、お前、みんなに向かってなんて叫んだか覚えてるか?」
 「えっ・・・?俺が・・・・?」
 よっちんは黙って笑顔で頷いた。

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