Colorless Life
 よっちんはさらに話を続けた。

 「その結果、クラスの士気は盛り返して、みんな必死に走り始めた。そんで最後、進二、遥、お前の3人で、始めは半周以上もあったトップとの差を一気にひっくり返して2組は優勝したんだ。」
 「・・・・・・・・。」

 「あの頃のお前は諦めの悪さは人一倍だったからな。でも、それが結果としてクラスの勝利を導いた。」
 「・・・・・・・・。」

 「お前はどんなことでも、いつも最後まで諦めなかった。文化祭の劇も、合唱コンクールも、それから受験もそうだ。いつも最後の最後まで自分に鞭打って必死にこなしてきただろ?」
 「・・・・・・・・。」

 「そんなお前にクラスの連中はいつの間にか影響されて、何事にも全力で取り組める奴らになっていったんだ。」

 ・・・・・・・・。

 「分かるか?勇治。お前がクラスを変えたんだよ。」

 俺はよっちんをゆっくりと見た。よっちんの瞳は既に俺の目を捉えていた。

 「お、俺が・・・・?」

 よっちんはにっこりと笑って頷いた。

 「本当に全力で取り組んだことは、たとえどんな結果が出たとしても笑えるもんなんだよ。だから全てをやり終えた後のお前の笑顔は、いつもあんなにも輝いてたんだと俺は思うけどな。」
 「・・・・・・・・。」

 「まっ、教師としての俺の立場から言わせてもらえば、お前のせいで俺の教師としとしての面目は丸つぶれだったけどな~。でも、そこはあのクラスをあそこまで盛り上げてくれたお前に免じて許してやるよ!」
 「・・・・・・・・。」

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