Colorless Life
 「高校に行ってお前は変わったんだよ、勇治。お前を変えたのは進二か明美か、それとも俺の知らない誰かか、それは俺には分からねぇけどな。」
 「・・・・・・・・。」

 「道に迷ったときはもう1度昔のお前を思い出してみろ。そこに何か答えがあるかも知れねぇぞ。」
 「・・・・・・うん、わかった・・・・。ありがとう・・・・よっちん・・、あっ・・・。」
 「米倉先生~!」

 よっちんはメガホンを振り上げていたから、咄嗟に手を頭の上に上げて防御の姿勢をとった。
 よっちんはそれを見て笑ってメガホンを下げた。

 「さぁ、今日はもう帰れ。親御さんも心配してると思うしな。」
 「うん。」

 辺りはすっかり暗くなっていた。

 俺とよっちんは立ち上がって校門の方へ歩いていった。

 「それじゃあ、ありがとう・・・。よっち・・、じゃなくて米倉先生。」
 「はははっ、気をつけて帰れよ~。」

 俺が後ろを向いて歩き出した時・・・。

 「勇治~。」
 よっちんの声が聞こえたから振り向いた。

 「ん・・?何?」
 よっちんの瞳からは優しさがあふれていた。

 「高校生活、楽しめよな。これはお前の人生なんだからな。」

 「はははっ、うん、ありがとう。またね。」
 少し微笑み返して再び前を向いて歩き出した。

 ・・・・よっちん・・・・、本当にありがとう・・・。
 やっぱり・・・、最高の先生だったな・・・・。

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