Colorless Life
 俺はある家の前に立っていた。

 インターホンを押した。

 中から人が出てきた。そいつは俺を見て驚き、不機嫌そうな顔で下を見た。

 「よっ。島谷・・・。」
 「お前・・・、俺の家まで何しに来た・・・?」
 「ちょっと話しないか?」
 「・・・・・。」

 俺と島谷は近くの公園に行きベンチに座った。

 少し沈黙が流れた。軽く息を吐いて顔中に絆創膏を張っている島谷を見た。
 「怪我のこと・・・、ごめんな・・・・。」
 島谷は地面を向いたまま黙っていた。

 「俺さ、中学の時、付き合ってた子がいたんだ。」
 「・・・・・・。」

 「でもそいつ、市内の通り魔事件に巻き込まれて犯人に殺されたんだよ。それも俺の目の前でな。」
 「!?」
 島谷はさすがに驚いたらしく、俺の方を見た。

 「それ以来さ、俺、な~んにもやる気がなくなっちまって、もう一生適当に生きて終わっちゃおうと思ってた。」
 「・・・・・・。」

 「人間関係もめんどくさくて、1人でいいなんて思ってたよ。別に1人でも生きていけるし~みたいな?」
 「・・・・・・。」

 「でもな、世話焼きな奴が教えてくれたんだ。一人で閉じこもってたってつまんねぇだろって。たとえ生きていけたとしても人生つまんなかったらせっかく生きてるのにもったいないじゃん!ってさ。」
 「・・・・・・。」

 「とはいえ、俺もまだ色々治さなきゃならないことあるんだよ。ナイフ見て我を忘れちまうとことか、無意識に人をボッコボコに殴っちまうとことかな。」
 「・・・・・・。」
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