Colorless Life
 久しぶりの図書館以外のデートで、思いっきり羽を伸ばして色んな所を歩いた。
 ファミレスで昼食をとった後、彼女のプレゼントを買いに歩行者天国を歩いていた。

 と、その時だった・・・。

 背後で奇声を上げる男がいた。その男は片手にサバイバルナイフを持ち、通行人を威嚇していた。

 俺はその光景を見ても異様なほど落ち着いていた。携帯電話を取り出して、110番を押した。
 しかし、それを見た男は、訳のわからないことを叫びながら俺に襲い掛かってきた。
 俺はとっさに彼女を自分の後ろにかばいながら、その男と揉み合った。

 力が弱いつもりはなかったが、その男は少なくとも俺よりも力があった。
 俺は壁に何度もぶつけられ、蹴り飛ばされた。
 起き上がろうとする俺に、男はナイフを振り上げて襲い掛かってきた。

 ・・・一瞬の出来事だった・・・・・。

 俺の目の前で人が倒れた・・・。

 歩行者天国は悲鳴で騒然となった・・・。
 男は奇声を上げて、そのまま通路を奥の方へと走っていった・・・。

 目の前で倒れている人を、恐る恐る抱き起こした・・・。

 ・・・遥だった・・・・。

 左の首筋から大量の血が流れ出して、手編みの白いセーターを真っ赤に染めていた・・・。

 頭の中が真っ白になった・・・。
 警察に電話したことなど完全に忘れていた・・・。
 下に落とした携帯電話から何か音が聞こえていた・・・。

 遥は俺の手を弱弱しく握ると、消え入りそうな声で「ご・・めん・・・。」と言った・・・。

 「あぁっ・・・・あぁあっ・・・・、あぁぁあぁっ・・・。」

 言葉が出てこなかった・・・。
 ただ声を出すことしかできなかった・・・。

 市内の歩行者天国で通り魔事件が発生した・・・。
 捕まった犯人は18歳の青年で、無差別に人に襲い掛かり20人以上の死傷者を出した・・・。

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