Colorless Life
 家に帰って、お父さんとお母さんに合格の報告をした。
 2人とも泣いて喜んでくれた。

 「そうか~、本当によく頑張ったな、詩織!」
 「今まで一生懸命頑張ってきたもんね!」
 「うん!これで夢にまた1歩近づいたよ!!」

 私の将来の夢は学校の先生。色んな生徒に、楽しくて明るい虹色の人生の送り方を教えられるような素敵な先生になりたいと思っていた。

 「よし、それじゃあ合格祝いしないとな。」
 「詩織、何か欲しいものはある?今ならお父さん奮発してくれるかもよ~。」
 「おいおい母さん、ハードル上げるのは勘弁してくれよ。」
 お父さんは困った顔をして笑っていた。
 「あははっ、そうだな~。じゃあ考えとく!」
 「詩織~、頼むから、あんまり高いのは勘弁してくれよ~。」
 私たちは笑った。

 最高に幸せな時間だった・・・。家族が仲良く机を囲んでみんな笑顔・・・。
 こんな幸せはいつまでも続くと当たり前のように思っていた・・・。

 ・・・思って・・・いたのに・・・。

 お父さんが通り魔事件に巻き込まれて、命を落としたと連絡を受けたのはその2日後だった・・・・。

 その日からお母さんはふさぎこんでしまった。
 仕方ないよ・・・・。2人はすごく仲が良かったんだから・・・・。
 お母さんの気持ちは痛いほど伝わってきた・・・。

 私は必死でお母さんを元気付けた。
 一緒にテレビを見たり、一緒にお風呂に入ったり、一緒に買い物に行ったり・・・。

 ・・・だけど・・・・。

 お父さんが天国に行った2日後・・・。
 お母さんも家のお風呂場で・・・。

 お葬式は、お父さんのお兄さんであるおじさん夫婦が全てやってくれた。

 おじさんたちは、私がこの家にいては、つらいことを思い出すだろうからと、私を柏木町の自宅で面倒みてくれると言ってくれた。
 私はおじさんたちの言葉に甘えることにした。

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