【兄と義妹】時空を切り出す光化学
「if……。でも、ないとは、言い切れない……。私が明日死んじゃって、寂しくなったら―― 」
「辞めろ。シンジさん達が悲しむ。それに、考えたくない」
もう、家族が居なくなるのはたくさんだ。両親が二人ずつ居たような、そんな幸せな家庭だったのに、何時の間にか、俺と楓だけになっていた。
そんな思いは……、たくさんだ。
「私も……、一人はいや……。それに、けんにぃを一人にすると……、犯罪者になりそう……」
「なにぃ!? じゃあ、犯罪者になる前に、楓が俺の側に居てくれよ」
もちろん、冗談だ。第一、楓が望んでもないだろう。
友人が言っていた。身近な存在ほど、恋愛からは遠ざかる、と。
「ん~……。考えとく……」
楓が後ろを向き、片付けの作業を再開した。つまりは、この話はここでおしまい。つい、俺は短く笑ってしまった。
「なんでお前、そんなに―― 」
嬉しそうに後ろ向くんだよ。思ったことは、そっと胸にしまった。
そして、俺も手を動かす事に専念した。