ぽっちゃり恋物語+。

午前の練習試合が終わり、昼休憩。


みなみに連れられて晴が座っているベンチに向かう。


「晴くん!」


呼ぶのが恥ずかしい私に代わり、みなみが呼ぶ。


「はいはい。」


「これ。晴の分。」


「ん。」


私が差し出したお弁当を受けとる晴。


「あ、梓センパイ!」

いつもの笑顔で登場した奏太くんのわたしを呼ぶ声が心地よい。


「…って、えぇ!?」


奏太くんは晴が持つお弁当を見てつぶやいた。


「ちょ、梓センパイどういうこと?晴にお弁当?え?」


笑ってる顔
驚いてる顔
混乱してる顔

ほんの短い時間でコロコロ変わる奏太くんの表情が面白い。


「似てないけど弟なの。」

「姉っす。」


「え?姉弟?」

私と晴を交互に何度も見ている奏太くん。


「え、あ、そうなんですか?焦っ…じゃなくて、びっくりしたー!」


「まぁ、そういうことなんで。お弁当ありがと。じゃ。」


なにかたくらんでいるような微笑みを浮かべながら、晴はチームメイトのもとへと行った。


なんだろ?あの笑い。


「梓、私飲み物買ってくるからちょっと待ってて!」

みなみが走ってこの場をあとにする。


絶対奏太くんと話すために気をきかせてくれたんだろうなぁ。


< 53 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop