ぽっちゃり恋物語+。
「あ。」
やっと私の方を見た奏太くん。
「どうしたの?」
「梓センパイめっちゃ汗かいてます。こんな暑いところに俺が読んだから…。このタオル使ってないんでどうぞ!」
全身が勢いよく熱くなるのがわかった。
ただ…恥ずかしくて。
この体型だと薄着にできなくて、ついつい何か1枚服を足してしまう。
さらに暑くなって人よりも汗の量が多くなるんだ。
「ごめんね、ありがとう。私みたいに太ってると汗が…「代謝がいいんですよー」
私の言葉を遮る奏太くん。
「代謝がいいと汗かきやすいんですよ。ほら、拭いてください!」
ね?と、私に優しくタオルを渡してくれた。
なんて優しいんだろう。
ふと涙が出そうになった。
「集合ー!」
グラウンドから部員を呼ぶ声が聞こえた。
「あ、行かなきゃ。じゃあ梓センパイ、また」
素敵な笑顔で別れを告げた奏太くんは集合がかかる方へと走っていった。
私の手元には奏太くんのタオルだけが残る。
タオルをぎゅっと抱きしめる。
奏太くんが…好き。