王子様の溺愛カメラマン
夕暮れの空は燃えるように赤く東の空は夜色に染まっていた。


ちょっと前まではまだ夕方でも明るかったのに、季節は確実に秋に移り変わっている。





植物園を少し周ると道端にオジギソウを見付けた。


「エマ、見てみろよ」


「ん?それなに?」


「オジギソウ」


葉の部分を指で撫でてやると、シュ~ンと茎全体が垂れ下がった。


まるでおじぎをするように。


「わぁ、すごい」


「面白いよな」


エマはしゃがみこんで楽しそうに葉っぱをこすっている。


「あれ?こっちのは触ってないのに垂れ下がってるよ~?」


俺はエマの頭の上からそれを覗きこんだ。


「お~それはもう寝てんだよ。オジギソウは別名眠り草って言うらしいぜ」


「へぇ、なんだかさっきの日向くんみたいだね~」


「はぁ?///」


エマは俺を見て楽しそうに笑ってる。


その笑顔がなんだかやたら可愛くて俺の胸がドキッとなった。


< 89 / 335 >

この作品をシェア

pagetop