きみに伝えた気持ちは(短編)
 幼稚園、小学校と、ずっと、同じクラスだった。

 同じ社宅に住んでいたから、帰り道も同じで、いつも一緒に帰っていた。

 そばにいるのが当たり前で、誰よりも遼の、近くにいるのは私だった。



 でも、中学生になってからは、遠くなったような気がした。

 初めて、クラスがわかれてしまったから。

 小学生の頃から、サッカーをしていた遼は、中学になると当然サッカー部に入った。

 放課後、暗くなるまで練習しているサッカー部。朝練もある。
 
 私は美術部でそんなに遅くなることもなかった。当然、朝練なんて、なくて。

 

 それまで、毎日顔を合わせないことなんてなかったのに、一度も会わない日が増えていった。

 

 心にぽっかりと穴が開いたみたいだった。



 寂しくて、ほかに友達はいるのに、どうしてだろう? 独りぼっちになってしまったような気がしていた。

 そのときは、その苦しいような、もどかしい気持ちが、よくわからなくて・・・。

 遼がそばにいないと苦しい切ない気持ちになるのか、よくわからなかったんだ・・・。

 

 



 
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