きみに伝えた気持ちは(短編)
 だからといって、あせって気持ちを伝えようとは思わなかった。

 ずっと一緒にいるから、いつか伝えたいって漠然と思っていた。



 でも、二年生になって、また同じクラスになれなかった。

 お互いの家に遊びに行くことも、なくなっていた。

 偶然顔を合わせて、会話を少しするくらいだった。



 どんどん、遠くなっていく遼。



 一年生のときは、遼の周りには女の子はいなかった。

 でも、二年生になってからは社宅周辺で遼のファンらしき女の子を見かけるようになった。

 その女の子たちは、同じ棟に帰っていく私を冷たく、にらむんだ。

 にらまれる理由なんてないはず。私たちは幼なじみなだけなのに。



 そして、あの子が現れた。

 佐藤有里(ユリ)。綺麗な黒髪と、白い肌をした人形みたいに綺麗な子。
 遼と同じクラスで、五月くらいからかな? サッカー部のマネーシャーになったんだ。

 きがつくと、いつも遼のそばには佐藤さんがいた。

 部活中はもちろん、移動教室のときも、彼女が遼のそばにいて、笑っていたんだ。

 

 
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