きみに伝えた気持ちは(短編)
「なに?」

「チョコレート」

「ああ」



 手を伸ばして、遼はうけとった。



「ありがと。・・・けど、家かえってからでよかったのに。風邪ひくだろ?」

「ちゃんと、渡したかったから」



 自分で作ったチョコレートだから、おばさんに預けたりしないで、ちゃんと渡したかったんだ。



「そっか。バレンタインの恒例行事だもんな。
 
 今日に限って、部活、遅くなったから、ここまでもってきてくれたわけ?」



 うなずく私。一度家に帰った私は私服だった。

 手を伸ばして、遼は私のダッフルコートのフードを頭にかぶせてくれた。

 あったかい。



「帰ろう。途中、コンビニでなにかあったかいの、おごってやるよ」





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