きみに伝えた気持ちは(短編)
「ね、また、途中まで一緒に帰ってくれるでしょう?」
甘える声で、佐藤さんがいった。
いっしょに帰ったりするんだ。ずきんと、胸が痛んだ。
遼はすぐに答えた。
「ごめん。今日は風邪ひきそうなやつがいるから、急いで帰るから」
「そう、なんだ」
落胆して肩をおとす、佐藤さん。
「いくぞ、芽生。じゃあな、佐藤」
「また、明日ね、遼くん」
ぺこりと彼女に頭をさげて、遼に続く。
背中に視線が突き刺さってくる。
佐藤さんだ。私をきっと、にらんでる。
付き合っているかどうかはわからないけれど、佐藤さんは、遼が好きなんだって・・・。