きみに伝えた気持ちは(短編)
 黙ったまま、私たちは、舞い散る桜吹雪のなか立ち尽くした。

 

 言いたいことはたくさんあって・・・でも、あの時伝えたかった気持ちは伝えたから、私はもう大丈夫・・・。

 新しいところへいっても、大丈夫。



「遼、帰ろう」

「あぁ」


 二人で、それぞれの自転車にのる。



 次にここに来るのはいつだろう?

 それとも、もう二度と、訪れることはないのかな・・・・。



 家に帰ってダンボールだらけの私の部屋。

 お母さんは、おまかせパックだから、業者の人がしてくれるから何もしなくていいのよ・・・っていったんだけれど、私は自分の部屋だけは自分ですることに決めたんだ。

 少しずつ、ダンボール箱につめていく。

 そのたびに、棚があいたりして、空になっていく私の部屋。

 開け放したままの押入れ。

 昨日からその中のものを整理していたんだ。

 




 
 
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