きみに伝えた気持ちは(短編)
5
どれだけいやだと思っても、こないことを願っても・・・別れの日はやっぱりきて・・・。
「またね」
「うん」
自然と伸ばして、つないだ手を離したくなかった。
でも、そんなことはできるはずがなくて・・・。
遼に好きだという私の気持ちは伝えた。
でも、遼の答えは聞かなかった。
いなくなってしまう私が、それ以上、望むことはいけないって思ったから。
もう、会えないから。
でも、あの夜の日・・・
「おれ、は」
って、あの後、どんな言葉をいおうとしていたのだろうと、思ったりもするんだ。
本当いうと、聞きたかった。
「お母さん」
飛行機の横の座席に座って、富士山なんかをのんきに見ている母に聞く。
「アルバイトって、何才からできるんだった?」
「え? ええ?」
びっくりして、窓から顔をはなしてお母さんは振り返った。
「私、がんばるから」
「そう、芽生ならどこでも大丈夫よ」
その、がんばるじゃ、ないんだけど・・・なんて思ったりして。