きみに伝えた気持ちは(短編)

 どれだけいやだと思っても、こないことを願っても・・・別れの日はやっぱりきて・・・。



「またね」

「うん」


 自然と伸ばして、つないだ手を離したくなかった。

 でも、そんなことはできるはずがなくて・・・。



 遼に好きだという私の気持ちは伝えた。

 でも、遼の答えは聞かなかった。

 いなくなってしまう私が、それ以上、望むことはいけないって思ったから。



 もう、会えないから。



 でも、あの夜の日・・・


「おれ、は」


 って、あの後、どんな言葉をいおうとしていたのだろうと、思ったりもするんだ。

 本当いうと、聞きたかった。



「お母さん」



 飛行機の横の座席に座って、富士山なんかをのんきに見ている母に聞く。



「アルバイトって、何才からできるんだった?」

「え? ええ?」



 びっくりして、窓から顔をはなしてお母さんは振り返った。



「私、がんばるから」

「そう、芽生ならどこでも大丈夫よ」



 その、がんばるじゃ、ないんだけど・・・なんて思ったりして。





 
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