きみに伝えた気持ちは(短編)
おまけ (宝物)
大切な、大切な私の宝物。
遼がくれた、ペンダント。
いつも、いつも、つけているんだ。
新しく引っ越してきた部屋で荷物をダンボールからだしていたら、本が出てきた。
花言葉の本。お母さんのだ。私の教科書の中に、まざってた。
荷物を片付ける、手を休めて、ぱらぱらと頁をめくっていく。
古い本は、独特のにおいがする。
四葉のクローバーの花言葉は、幸福。
クローバーの花言葉は、約束、私を思い出して。
遼がそこまで、考えて、これをくれたのかはわからない。
だけど・・・私は、思い出すまでもないよ。
遼のことを忘れるはずがない。
遠くはなれてしまったけれど、好きだよ。
・・・会いたいよ。
遼のほうこそ、私を思い出になんてしないで。
ハンガーには真新しい、転校する中学の制服。
ブレザーだ。
明日からこれを着て、がんばらなきゃ。
こっそり制服のブラウスの下にペンダントつけていこう。
これは私の大切な、宝物で、お守りだから。
「遼、私、がんばるからね」
ペンダントをぎゅっと握り締める。
なんだか、そこから、力をもらえた気がした。
おまけ 完