わたしの生きる道
新作をホームページに載せたりするのも、父の役目。

なので姉と母は、作品作りに没頭できる。

個人で作っているので、数に限りが出てしまうが、それが人気の秘訣でもあるだろう。

兄は兄で、家から出ようとしない。

地下の他に、各階に書斎がある。

専門書からマンガまで、家族の本好きが高じて書斎が四つもできてしまった。

下手な本屋より品揃えが良いので、家から出て行くという考えはおきないみたい。

まあかく言うわたしも、そういう職に就くつもりなのだから、血は濃いものだ。

高校二年の秋、進路がこれほどまでしっかり決まっているのも、珍しいことだろうな。

わたし、皆藤花菜(十六歳)は深く息を吐いた。

すると隣に座っている姉が、茶碗を差し出した。
< 12 / 96 >

この作品をシェア

pagetop