わたしの生きる道
体が弱かったせいで、体を動かす仕事は向かず、他に選ぶものはなかった。

だから兄はマンガ家になった。

それしかないと自分で決め付け、その為にしか努力をしてこなかったから。

「カナは…不安?」

「うっう~ん…。ちょっと不安がある、かな?」

「…手芸、飽きた?」

「飽きてはないけど…。さっき言ったみたいな不安があってさ。よくわかんなくなってきちゃった」

アハハと苦笑すると、兄はマグカップをテーブルに置いて、わたしの頭を撫でた。

「おにぃ?」

「オレ…カナの作る手芸品、大好き」

兄は優しい笑顔をしていた。

…珍しい。こんな顔をするなんて。

「あっありがと」

「オレもそう、だけど…」
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