わたしの生きる道
「仕事、進んだの?」

「ああ…。今日には、渡せる」

「そっか。おフロで寝ないようにね」

「うん…」

ぼんやりしたまま、兄はお風呂場へ入って行った。

一階に戻ると、上から両親が下りてきた。

「おはよう、父さん、母さん」

「おはよう」

「おっはよ~。あ~、眠いわ」

両親は三階に寝室がある。

結婚して二十五年目になるのに、未だ同じ部屋で、同じベッドで寝ているんだから、本当に仲が良い。

「朝食、作ってくれたんだ。ありがとね」

母がわたしの頭を抱え込み、額にキスをする。

子供を大事に思ってくれる、ありがたい両親だ。

「うん、簡単なものだけどね」
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