わたしの生きる道
仕事の全ては、父がいてからこそ成っていたんだ。

「父さん…柊さんは何も言わなかったけど、あたしのやることをいっつも支えてくれた。だから子供達にも、何かを強制したりはしたくないの。例え将来のことでも、ね」

「母さん…」

母はにこっと笑った。

「一般的な母親だったら、『ちゃんと自分一人で決めなさい』って言うことが正しいんでしょう。でもアタシはそれで一度失敗しちゃったから、言えないわね」

自分が苦労したことだから、ムリには進路を決めなくて良いと言ってくれている。

「幸いウチは金銭的には余裕がある方だし、カナが納得する将来を決めるまで、養ってあげられるしね。だからゆっくり考えなさい。高校卒業してから決めたって、悪くはないんだから」

「…うん。ありがと」
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