キャラメルハート
☆プロローグ
「ねぇ、俺じゃ駄目なの?」
「うん。駄目」
「何で?」
「何でも」
あたしは教室を出て昇降口に向かった。
「藤倉~」
「……」
「藤倉~~」
「……」
「ふ・じ・く・ら・さ~ん」
「…うるさいな!黙って歩け!」
あたしは立ち止まって振り返り、聖(ひじり)にそう怒鳴った。
「だって…」
「…な、何…」
突然、聖がそう言いながら下を向いた。
「藤倉が無視するんだもん…」
そう言って聖はあたしに向かって上目使いをした。
「…その上目使いヤメろ。物凄く腹が立つのと同時にお前がやると気色悪い」
「嫌だな~藤倉は。藤倉も上目使いやってよ」
「出来ん」
「何で?」
「何でって…出来ないものは出来ないんだよ」
「え~、本当は俺の前でやるのが恥ずかしいからじゃないの~?」