キャラメルハート


どうしよう…


昨日の聖の笑顔が頭から離れない…


「藤倉?どうしたの?」


「な、何でもない…」


「なら何で机に突っ伏せてるの?」


「だ、だから何でもないって…」


あたしがそう言った時、聖を呼ぶ声が聞こえた。


「聖さんいますか~!」


あたしは顔を上げた。


すると教室の前の入り口の所にタオルを持った一人の男子が立ってた。


聖は黙って立ちあがり、その男子の元へと行った。


あたしは何気なくその光景を見てた。


何やら話してる様子。そしてしばらく話すと男子が聖にタオルを渡した。


聖はそのタオルを受け取るとその男子に向かって昨日、あたしに見せた笑顔をその男子にも見せた。


どうやらお礼を言った様子。その男子は軽く頭を下げて去ってった。


………。


…………。


そうか。


聖は男、女関係なく誰にでもあの笑顔が出来るんだ。


あたしにだけあの笑顔を見せるわけじゃないんだ。


な~んだ。


なら、別にこんな気持ちになる必要なんてないじゃん。


あたしゃ馬鹿だ。あんな笑顔に変な気持になってたなんて。


あ~!なんかそう考えると気持ちが楽になったな~。


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