隣のお兄ちゃん
Part3
通学カバンを右手に持ち替えたあたしは、徐ろに視線を落とした。
すぐ近くに見えるのは、裕くんの白いスニーカー。
ちょっと前までは、あまり変わらなかったのに。
いつの間にか、靴のサイズもだいぶ違っている。
背だって、見上げるくらい高い。
ずっと裕くんの方が大きかったけど、こんなにも違っていなかった。
「なぁ、葵!おまえさぁ、好きな奴とかいないの?」
「…えっ?」
裕くんの口から、思ってもみないことを言われたから。
あたしは動揺して、カバンを落としそうになった。