仮病に口止め料

一方、俺の家は幼い頃兄が図工の時間に描いた絵やら、弟が夏休みのナントカ教室で作った粘土のブタ貯金箱やら、

とりあえず家庭っぽさが並べられている。

その理由はきっとパピーとマミーによる無意識の結果だろうが、そこは鈍感な我が子のふりをした方がより内面が劣化するため、薄気味悪い俺はそちらを選ぼう。


彼女の家族に会うのは楽しい反面、交際歴が重なるにつれ少し後ろめたさを感じるようになっていた。

なぜなら、大事な娘の青春がコイツに委ねられているのだと、

期待や不安、淋しさなど複雑な想いが詰まった目で見られている心境にならなくもないからだ。

これは十代男子あるある話だと言ってもそこそこ嘘にはならない。


そして、自分の気分次第で適当に恋人と送っている毎日なのに、いつの間にか二人だけの恋愛が皆のモノになっている不思議は、誰も解明することができない。

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