仮病に口止め料

「姫さま?」

恭しく方膝をつきファンタスティックな呼びかけをしたのに聞こえていないのか、

恋人の登場に反応を見せない(ある意味ドSな)彼女は首を前に垂らしており、

こちらもまたある意味幻想的に髪の毛お化けみたいだった。

存分に滑らされた俺は自分の寒さに気づきたちまち焦る。


階段の二段目に座ればベンチに早変わりするのは、学生だけしか使えないキラキラ魔法である。

小難しい呪文は必要ない、コツはいかれた恋心を痛いと否定せず存分にときめかせることだ。

そうすれば、恋の妖精さんたちに夢の世界へと導いてもらえる。

暇な人はぜひお試しください、お手軽、簡単だ。

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