仮病に口止め料
女子グループが仲良くベランダでお昼を食べはじめた向こう校舎の光景は、
こちら側の窓が学校にしかない額となり、お弁当を一口交換する様子が友情らしい絵画に早変わりと言いたいところだけれど、
ここは平成二十三年らしくデジタルサイネージに大変身と結ぼう。
頭のてっぺんで膨らんでいるのは、鏡餅のみかんにそっくりなポンパドール、
髪型やら襟の開き加減やらで自己主張をする生徒らは動く広告だ。
彼女はというと、愛しのダーリン登場をなかったことにして、
俺の存在をただただシカトしてくださっており、
いくら頑丈なハートでも独り言三連発はさすがに厳しい。