たとえばセカイが沈むとき
突きつけられたセカイ


 チサトが死んだ。
 ちょうど一年前に、突然僕の目の前で。

 当時僕らは、付き合い始めて三年ちょい。水族館へ行って、夕飯を食べた後の、散歩を兼ねた徒歩での帰り道だった。

 春らしい暖かな陽射しの日中よりも、少し風の出て来た夜のほうが、歩きやすい。

 少しアルコールを引っ掛けてはいたけど、意識はハッキリしてた。なのに、その時何があったのか、僕はよく覚えていない。あまりにも精神的に衝撃が大きかったせいだろうか。

 すぐ近くで起きた鈍い音へ、意識が向いた時には既に、彼女は宙に跳ね上がっていた。


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