たとえばセカイが沈むとき
あの日から、チサトを思い出す場所を避けていたのが、裏目に出た。一年前なのか現在なのかもわからずに、店の近くで何時間もボケッと突っ立ってる羽目に陥った。
作りかけのタイムマシンで勘違いした自分が悪いのだ。もっと確実な、何か年代のわかるもので確認すべきだった。
今更ながらにきょろきょろと辺りを見回したが、そうそう都合良く見つかる筈もない。
僕は文句がてら、あのレイとかいう男のところへ戻ろうとしたが、馬鹿馬鹿しくなって止めた。わざわざ『見事に騙された』と申告するようなものだし、癪だ。
うなだれたまま自分のアパートへ戻る。
部屋に入った瞬間、僕は外へ飛び出した。