たとえばセカイが沈むとき


 レイの家は、相変わらず僕を迎え入れてくれた。ドアは勝手に開き、あかりもつくのに、主の姿は見えない。

 そういうつくりなんだろうとあまり気にしない事にし、僕は、タイムマシンに乗り込んだ。

 あの時代を出発した日付を正確に打ち込み、躊躇う事なく発進ボタンを押す。

 加速を感じる。構えていたから、一番初めに乗った時よりはいい。圧迫感に目を瞑った。

 落ち着いた頃にそっと目を開けると、どうやら到着したようだ。

 チサトがいる世界かもしれない。どきどきする心臓を押さえながら、扉を開けた。

 レイの驚いた顔が目に飛び込む。

「一年前へ、行ってきました」

 僕は言ってやった。


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